米不足って昔もあった?平成と令和の米騒動を比較してみた

「最近、米の値段が上がっている気がする」「スーパーで欲しいお米が品切れ…」。そんな声を耳にしたことはありませんか?令和の今、私たちは再び“米不足”という課題に直面しています。
しかし実は、こうした状況は今回が初めてではありません。約30年前の1993年、日本は“平成の米騒動”と呼ばれる深刻な米不足を経験しました。
あのとき何が起き、どうやって乗り越えたのか。そしてなぜ今、再び同じような問題が起きているのでしょうか。
本記事では、平成と令和、2つの時代の米不足を比較しながら、その背景や影響、私たちにできることまでをわかりやすく解説します。
家庭での備え方や政府の対応の違いにも触れ、今後どのように行動すべきかを一緒に考えていきましょう。
平成の米騒動(1993年)とは?
記録的冷夏と生産量の激減
1993年の夏、日本列島を覆ったのは異例の冷たさでした。気温が低く、日照時間も少ない「冷夏」が続き、稲作に大きなダメージを与えました。
作況指数(収穫の目安となる数値)は過去最低レベルの74を記録し、平年の約70%しか収穫できなかったのです。
この結果、市場にはお米が不足し、家庭や飲食店、学校給食などさまざまな場面で混乱が発生しました。スーパーでは売り切れや買い占めが相次ぎ、行列ができる店舗も。
飲食業界ではメニューを変更する店舗が続出し、おにぎりの販売中止なども話題になりました。
政府の対応と備蓄米制度の導入
この深刻な状況に対して政府は、海外からの緊急輸入を決定。タイ米やアメリカ米など、外国産米が大量に日本に入ってきました。
普段食べ慣れない香りや食感に戸惑う人も多く、「まずい」「違和感がある」といった声が上がりました。
同時に、将来的なリスクに備えて備蓄米制度が導入され、一定量の米を政府が保管する体制が整えられました。
また、農家支援のために新たな助成金制度も設けられ、食料安全保障の重要性が再認識される契機となりました。
令和の米不足(2024〜2025年)の現状
猛暑と品質低下による供給不足
一方で、令和の米不足は、平成とは異なる要因によって引き起こされています。その主因が「猛暑」です。特に2023〜2024年は記録的な高温が続き、稲が実る時期に悪影響を及ぼしました。
その結果、見た目に問題はなくても、炊くと風味が落ちたり、粒が割れていたりするなど、品質の低下が顕著に現れています。
これにより、高品質な米を求める消費者の需要に供給が追いつかず、流通に混乱が生じています。また、品種によっては等級が下がり、農家の収入にも大きな打撃を与えています。
需要増加と流通の混乱
さらに、訪日外国人の増加による「インバウンド需要」や、報道による不安からの「買いだめ」も拍車をかけています。ある日突然、棚からお米が消える——そんな光景を目にした方も多いのではないでしょうか。
物流の混乱や天候被害も重なり、価格の上昇や品薄状態が続いているのが現状です。都市部では配送遅延も発生しており、小売店での在庫確保が難しくなっています。
業界ではAIを活用した需要予測などの取り組みも進んでいますが、対応には限界があります。
平成と令和の米不足を比較する

共通点と相違点
平成と令和、どちらの米不足も「気候変動」が原因である点は共通しています。ただし、平成は冷夏による「量の不足」、令和は猛暑による「質の低下」と、原因と影響に違いがあります。
また、平成では海外輸入で対応したのに対し、令和では品質確保や流通の安定化が課題となっています。情報拡散の手段も変化し、SNSの普及により誤情報が拡散しやすく、パニック買いが加速する傾向も見られます。
一方で、備蓄制度の存在や家庭でのストック習慣など、前回の経験が生かされている面もあります。気候変動に強い品種の研究や、スマート農業の推進といった、将来を見据えた取り組みも進んでいます。
今後の対策と私たちにできること
備蓄の重要性と家庭での対応
まず意識したいのが、「家庭でできる備え」です。例えば、
- 普段より少し多めに米をストックする
- レトルトご飯や乾燥米も取り入れる
- 雑穀やパスタなど他の主食と併用する
- 消費期限を管理し、定期的に使いながら回す
こうした備えは、災害時にも役立ちます。過剰な買い占めは不要ですが、計画的に備えることで安心感が高まります。家族で話し合い、「わが家の食の備えマニュアル」を作るのもおすすめです。
政策の見直しと持続可能な農業
政府には、減反政策の見直しや、若手農業者への支援、気候変動に強い品種の開発などが求められています。
一方、私たち消費者も国産米を選ぶ、地元産に目を向けるといった行動で、持続可能な農業に貢献できます。
直売所の利用や地元ブランド米の購入、農業体験イベントへの参加を通じて、農業の大切さを次世代に伝えることも大切です。
まとめ:過去の教訓を今に活かす
平成の米騒動と令和の米不足。背景や状況は異なりますが、どちらも「自然の影響」「政策の柔軟性」「消費者の行動」がカギを握っていました。
過去の教訓から学び、今に活かすこと。私たち一人ひとりが少し意識を変えるだけでも、社会全体の備えにつながります。
米不足に振り回されないために、今日からできることを始めてみませんか?日々の買い物や食卓の工夫が、未来の安心につながります。
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